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RetroN 5のようなハードには、アメリカ人のレトロゲーマーもいろいろとジレンマを抱えているようです。

たとえば、何がなんでも実機という人にとっては、互換機など論外かもしれませんが、ことRetroN 5のような複合機、しかも高品位テレビに対応していたりするようなものは、やはり魅力的なのでしょう。

そうした複雑な心境を率直に表した記事がありましたので、ここに要約してみました。

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レトロゲーム愛好者には、大きく分けて2つの流派がある。

ひとつは、現代技術の便利さを享受することを良しとする人々である。彼らは、オリジナルのゲーム機にはなかった、保存や早送り、巻き戻しといった機能を使いたいと思っている。高品位テレビや無線接続のコントローラで、昔のゲームをプレイしたいと思っている。そしてROMデータを合法ないし非合法な形で入手しては、エミュレータで遊んでいる。

もうひとつが、正統派とでもいうべき人々である。彼らは、実機のゲーム専用機に、本物のROMカートリッジを挿し、本物のコントローラを使い、ブラウン管テレビでプレイすることにこだわる。東京に出張で行くようなことがあれば、中古のツインファミコンをわざわざ買って持ち帰るような人々である。

そして、この両者の中間に位置するのが、このRetroN 5だろう。

RetroN 5は実物のROMカートリッジを使うことができる。しかも、9機種ものゲーム専用機に対して互換性を持っているのだ。その一方で、ゲームの保存やHDMI出力端子といった、現代のゲーム互換機に特有の機能も備えている。こうした要素のすべてを肯定するか否定するかは、その人なりの哲学しだいで決まるとしか言いようがない。

やや重い話になってしまったので、それよりは気軽な話をしよう。

別の問題として、互換性のことがある。たいていのゲーム互換機は、オリジナルのゲーム機をいくらか改良したものを使っている。いわゆる1チップNESと呼ばれるもので、これにより安いコストでNESの互換性を確保できる。

ただし、すべてのソフトが動くわけではない。特殊チップをもつROMカートリッジだと、互換機では動かないことが多いのだ。これまでのRetroNは、かなりの互換性を実現していたが、それでも100%ではなかった。つまり、どうしても動かないゲームもあるということだ。

それでも、昔のゲーム機を使うよりは、問題は少ないだろう。というのも、アメリカで製造されたNES本体は、今ではほぼまちがいなくROMカートリッジのピンコネクタが劣化しており、カートリッジを挿したところで正常に動くかどうかは分からないからだ。あるいは、RFアダプタが故障しているかもしれない。こうした問題も、新品のRetroNなら無縁のはずである。

また、Wiiのバーチャル・コンソールのようなサービスに対しても有利である。あの手のサービスはなにしろ、欲しいゲームがなければ、ひたすら配信を待つしかない。権利関係など、さまざまな事情で配信が不可能なタイトルもある。ところが、RetroNなら、実物のROMカートリッジがあれば遊べるのだ。

個人的には、どうするべきかという意見は特にない。実機だろうがエミュレータだろうが、好きな方を選べばいいと思う。RetroN 5のようなゲーム互換機に対する需要は確かに存在する。リサイクル店で古いハードやソフトをあさるか、さもなくばバーチャル・コンソールを利用するという二者択一から、第三の新たな選択肢をもたらした功績は大きい。

正直いって、判断がつかないのだ。昔のゲーム専用機に対する愛着はあるが、自宅がどんどん狭くなる一方であることの不安もある。古いゲーム機数台ぶんをまとめた互換機というものが人気を呼ぶであろうことは、確かに理解できるのだ。


RetroN 5 and the uncomfortable tension between old and new | Joystiq.com

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