今年6月に開催されたE3での、Hyperkin社のブースのレポート、4つ目をお送りします。今になって気付いたのですが、engadgetでもRetroN 5を取り上げた記事がありましたので、以下に要約してみました。
Innex社がNES、SNES、ジェネシスの3機種に対応したゲーム互換機を発表 ただし発売時期は未定
RetroN 5以外にもいろいろゲーム互換機は登場していますが、その中でも新しいものとして、Innex社が5月に発表したThe Super Retro Trio (SRT)というゲーム機があります。これはNES、SNES、セガ・ジェネシスの3機種に対応した複合機です。価格は69ドル99セント。ただし具体的な出荷時期は未定で、今のところ「今年の夏」と告知されているのみです。
互換機といってもいろいろで、粗悪なものも数多くありますが、このSRTは、外観から見るかぎりはなかなかしっかりしたもののように思えます。
本体にはコントローラが2つ、AVケーブル、電源アダプタが付属しているそうです。ただしHDMI端子があるかどうかは分かっていません。
また別売りですが、ゲームボーイ・アドバンス用のROMカートリッジに対応したアダプタもあります。単体で39ドル99セント、本体と一緒に購入する場合は合計で89ドル99セントとのこと。
このSRT、従来の互換機同様、どうもハードウェアでエミュレーションしているようなのですが、それだとどうしても一部に動かないゲームが出てきてしまいます。また、動いてもサウンドやグラフィックが適切に表示されないケースもあります。
ゲームボーイに対応しているのは目新しいところですが、それでもRetroN 5に比べると、あまり面白みのないハードというのが率直な印象です。こういうものでも需要はあるということなのでしょう。
Innex
発売元のサイトですが、発売元のサイトですが、SRTについては近日発売という扱いのままです。
The Super Retro Trio Is Three Classic Consoles In One - kotaku.com
一部のレトロゲーマーは、RetroN 5に対して割り切れない感情を抱いているという記事
RetroN 5のようなハードには、アメリカ人のレトロゲーマーもいろいろとジレンマを抱えているようです。
たとえば、何がなんでも実機という人にとっては、互換機など論外かもしれませんが、ことRetroN 5のような複合機、しかも高品位テレビに対応していたりするようなものは、やはり魅力的なのでしょう。
そうした複雑な心境を率直に表した記事がありましたので、ここに要約してみました。
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レトロゲーム愛好者には、大きく分けて2つの流派がある。
ひとつは、現代技術の便利さを享受することを良しとする人々である。彼らは、オリジナルのゲーム機にはなかった、保存や早送り、巻き戻しといった機能を使いたいと思っている。高品位テレビや無線接続のコントローラで、昔のゲームをプレイしたいと思っている。そしてROMデータを合法ないし非合法な形で入手しては、エミュレータで遊んでいる。
もうひとつが、正統派とでもいうべき人々である。彼らは、実機のゲーム専用機に、本物のROMカートリッジを挿し、本物のコントローラを使い、ブラウン管テレビでプレイすることにこだわる。東京に出張で行くようなことがあれば、中古のツインファミコンをわざわざ買って持ち帰るような人々である。
そして、この両者の中間に位置するのが、このRetroN 5だろう。
RetroN 5は実物のROMカートリッジを使うことができる。しかも、9機種ものゲーム専用機に対して互換性を持っているのだ。その一方で、ゲームの保存やHDMI出力端子といった、現代のゲーム互換機に特有の機能も備えている。こうした要素のすべてを肯定するか否定するかは、その人なりの哲学しだいで決まるとしか言いようがない。
やや重い話になってしまったので、それよりは気軽な話をしよう。
別の問題として、互換性のことがある。たいていのゲーム互換機は、オリジナルのゲーム機をいくらか改良したものを使っている。いわゆる1チップNESと呼ばれるもので、これにより安いコストでNESの互換性を確保できる。
ただし、すべてのソフトが動くわけではない。特殊チップをもつROMカートリッジだと、互換機では動かないことが多いのだ。これまでのRetroNは、かなりの互換性を実現していたが、それでも100%ではなかった。つまり、どうしても動かないゲームもあるということだ。
それでも、昔のゲーム機を使うよりは、問題は少ないだろう。というのも、アメリカで製造されたNES本体は、今ではほぼまちがいなくROMカートリッジのピンコネクタが劣化しており、カートリッジを挿したところで正常に動くかどうかは分からないからだ。あるいは、RFアダプタが故障しているかもしれない。こうした問題も、新品のRetroNなら無縁のはずである。
また、Wiiのバーチャル・コンソールのようなサービスに対しても有利である。あの手のサービスはなにしろ、欲しいゲームがなければ、ひたすら配信を待つしかない。権利関係など、さまざまな事情で配信が不可能なタイトルもある。ところが、RetroNなら、実物のROMカートリッジがあれば遊べるのだ。
個人的には、どうするべきかという意見は特にない。実機だろうがエミュレータだろうが、好きな方を選べばいいと思う。RetroN 5のようなゲーム互換機に対する需要は確かに存在する。リサイクル店で古いハードやソフトをあさるか、さもなくばバーチャル・コンソールを利用するという二者択一から、第三の新たな選択肢をもたらした功績は大きい。
正直いって、判断がつかないのだ。昔のゲーム専用機に対する愛着はあるが、自宅がどんどん狭くなる一方であることの不安もある。古いゲーム機数台ぶんをまとめた互換機というものが人気を呼ぶであろうことは、確かに理解できるのだ。
RetroN 5 and the uncomfortable tension between old and new | Joystiq.com
Hyperkin社が7月中旬にシアトルで開かれるレトロゲームのイベントに参加 それまでには進展はなさそう
RetroN 5の発売元であるHyperkin社は、7月13、14日にシアトルで開かれるレトロゲームのイベント「シアトル・レトロ・ゲーミング・エキスポ」(SRGE)に出展する予定です。今のところ、RetroN 5の出荷時期について具体的な言及を避けているHyperkin社ですが、このタイミングで何らかの発表を行うのではないかと期待が集まっています。
このイベントは、シアトル在住のゲーマー2人が地域のレトロゲーム振興を目的に始めたもので、年に1回開かれており、今年は3年目とのことです。地元のゲーム店が後援しているほか、Hyperkin社も共催に名を連ねています。
このところ、Hyperkin社のフェースブックには、RetroN 5の発売時期を問い合わせるコメントが続々と書き込まれているのですが、Hyperkin社は返答はするものの明確なことは何も言わないままです。いろいろと事情はあるのでしょうが、なるべく早いうちに、はっきりした回答を期待したいところです。
OUYAの一般販売が開始~先行予約者の注文分は一部未発送のまま
Androidベースのオープンソース、価格は100ドル以下、資金公募サイトのキックスターター発と、なにかと話題の多いゲーム機OUYAですが、先日ようやく一般販売が始まりました。
早くも一部の販売店では品切れとなる一方、キックスターターで先行予約していた人々の一部が、まだ本体を受け取っていないとして不満を表明しており、波乱含みのスタートとなっています。
元々、OUYA側では今年3月には先行予約分をすべて発送し、一般販売は6月上旬というスケジュールだったのですが、4月、5月になっても先行予約分の注文を満たすことができず、一般販売を数週間遅らせていました。それでも結局は、予約分をすべて解消できないまま、一般販売を始めてしまったわけです。
一方でOUYA側では、この件について謝罪すると共に、配送業者に問題があると説明しています。対策として、カスタマーサービスの人員を大幅に増やすとともに、配送を委託しているDHLの配送番号をユーザーにメールで通知したということです。
とはいえ、DHLが配送業者としては何かと問題があることはよく知られています。だからこそ大手メーカーはフェデラル・エクスプレスかUPSを使っているわけで、配送コストを抑えようとしたのかどうかは分かりませんが、その面で、OUYA側にも不手際があったと言えなくもありません。
すでにOUYAは各方面から悪評を浴びせられていますが、この一件でますます印象を悪化させてしまうかもしれません。いずれにしても、OUYAの相次ぐトラブルには、経験に乏しい企業がこのようなハードウェアを売り出すことの難しさを改めて意識させられます。
OUYA goes public, Kickstarter orders still not delivered - Mind Of The Geek